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旅と地理のまとめ

オセアニアの大陸国家 オーストラリア

オーストラリア連邦は、オセアニアにあるオーストラリア大陸を丸ごと領土とする大陸国家です。周囲にはパプアニューギニアソロモン諸島などのメラネシアの島々、ニュージーランドなどの国があります。

日本人のワーキングホリデー留学先として非常に人気の国で、永住者も含め多くの日本人が渡航、居住している国です。

広大な国土は地域によって気候が異なり、多様な生態系が見られます。オーストラリアの生き物といえば、カンガルーやコアラが真っ先に思い浮かびますね。

では、オーストラリアがどんな国か詳しく見ていきましょう。

 

基本情報

首都 キャンベラ
人口 2590万人
言語 英語(オーストラリア英語)
民族 白人 90%
宗教 キリスト教 50%, 無宗教 30%
GDP 1兆3593億USドル(一人当たり 52,825USドル)
通貨 オーストラリアドル

 

 

気候

サバナ気候(Aw) ケアンズ
ステップ気候(BSh) アリススプリングス
温暖湿潤気候(Cfa) ブリスベンゴールドコースト
西岸海洋性気候(Cfb) シドニーメルボルンアデレード
地中海性気候(Csa) パース

 

主要都市の多くは、東海岸側の過ごしやすい西岸海洋性気候や温暖湿潤気候に区分される地域に発展しています。

また、大陸の北端のヨーク岬熱帯雨林気候(Af)、内陸部には広大な砂漠が広がっており、気候は砂漠気候(BWh)です。

また、南半球に位置するため季節は日本と真逆。12月〜2月が夏で台風もこの時期に発生、6月〜8月が冬にあたり一年で最も寒くなります。

地理

行政区分

オーストラリアは6つの州といくつかの準州、特別地域に分かれています。

ニューサウスウェールズ州

ビクトリア州

クイーンズランド州

南オーストラリア州

西オーストラリア州

タスマニア州

準州

・首都特別地域

ジャービス

ノーザンテリトリー

ジャービス湾は、沿岸部にキャンベラの直轄地を設けるために準州に制定されました。現在はキャンベラとは別の準州となってますが、選挙区など一部キャンベラと同一にされている面も残っています。

ノーザンテリトリーにはアボリジニの聖地ウルルがあり、首都ダーウィンの人口の4分の1ほどをアボリジニが占めるなど、先住民の多く居住する地域です。

その他、6つの海外領土(特別地域)を領有しています。

アシュモア・カルティエ諸島無人島)

クリスマス島有人島

ココス諸島有人島

ノーフォーク島有人島

・コーラルシー諸島(無人島)

ハード島及びマクドナルド諸島無人島)

クリスマス島無数のアカガニが道路を埋め尽くす光景が有名です。

この他にも、国内には8000を超える島々があり、オーストラリア全体の海外線の全長の40%島嶼部に当たります。(本土35.877km、島嶼部23.859km)

地理

オーストラリアは世界第6位の面積を誇り、世界で唯一大陸全土を単一国家で占めています。

オーストラリア大陸総面積の35%程が乾燥地帯であり、全大陸の中で最も乾燥している大陸です。

総人口の85%が沿岸部から50km以内に居住しており、内陸部に広がる広大な乾燥地帯の人口はごく僅かにすぎません。

特に東海岸や南東部に人口が集中しており、国土西部の西オーストラリア州は国土面積の3分の1を占める最大の州で、日本の6.6倍の広さですが人口は約250万人。さらにそのうち約200万人は州都パースに集中しています。

人口希薄地域はアウトバックと呼ばれ、砂漠など居住には向かないものの観光地としてはウルルをはじめ魅力の多い地域です。

また、全体的に平坦な地形で、最高峰はコジアスコ山の2229m。古期造山帯*1に含まれるグレートディバイディング山脈の一部です。

生態系

オーストラリアは地理的に隔絶した場所に位置しているため、独自の生態系を形成しています。

哺乳類、爬虫類、昆虫類などあらゆる種類の生物の8〜9割が固有種です。しかし、ヨーロッパ人の入植以降、持ち込まれた外来種の影響で絶滅に追い込まれた生物も少なくありません。

オーストラリアに生息する生き物をいくつかご紹介

哺乳類

ディンゴ(オオカミのような野犬。先住民が移住時に一緒に連れてきたとされている)

タスマニアデビル(最大の肉食有袋類。野生種はタスマニア島にのみ生息)

鳥類

エミュー(オーストラリアの国章に描かれている飛べない鳥。)

ヒクイドリ(脚に鋭い爪があり、蹴りで人を殺傷できるほどの脚力がある)

・ワライカセミ(世界最大級のカワセミ。人の笑い声のような鳴き声を出す)

有袋類

・カンガルー(国章に描かれている国の象徴。国内に5000万匹以上生息している)

・コアラ(1日16時間以上睡眠をとる。1日に食べるユーカリの量は1kg程)

ウォンバット(夜行性で昼間は地面に穴を掘って休む。冬場は昼でも外に出ることがある)

爬虫類

・オーストラリアワニ(体長2〜3m程のワニ。河川や湖など淡水に生息)

・ペレンオオトカゲ(体長2m程のオーストラリア最大のトカゲ。肉食で毒を持つ)

単孔類

・カモノハシ(卵生の哺乳類。後ろ足に毒があり、その強さは犬程度の大きさの動物を殺傷できるほど)

・ハリモグラ(針に体が覆われ、危険を感じると体を丸めて身を守る)

歴史

数万年前〜

オーストラリアに最初に人類が定住したのは、4〜6万年前と言われています。このオーストラリアの先住民となった人々、アボリジニは数百もの部族があり、言語の数も250ほどあ。

ヨーロッパ人入植前のアボリジニの人々は、狩猟を行いつつ生活を営み、国家や政治といった概念は存在しません

17世紀〜

1606年、オランダ人のウィリアム・ヤンスゾーンがヨーロッパ人として初めてオーストラリア大陸に到達しました。

その後160年ほど、ヨーロッパ人の探検家たちがこの一帯を探索し、開拓していきます。

1770年にイギリス人のジェームズ・クック東海岸の現在のシドニーにあたるボタニー湾に到達、その領有を宣言。

1788年に流刑地として最初の囚人が到着、その後80年で約165,000人以上の囚人が送られたとされています。

この時代以降、ヨーロッパ人の入植によってもたらされた伝染病や、スポーツハンティングの標的としたことで、アボリジニの人口は激減することになりました。

1851年〜

1851年、ビクトリア州で金が発見されたことによりゴールドラッシュが到来。イギリスを含め、ヨーロッパ諸国や中国から金を求める人々が大挙してきました。

その結果、人口は爆増、急速に発展していき大陸全土をまとめた連邦国家の樹立に向けて歩み始めます。

1901年〜

1901年、すべての州を同一の憲法によって統一しオーストラリア連邦が成立、事実上の独立を果たします。

シドニーメルボルンのどちらを首都とするかで争い、妥協案として二都市の中間にあるキャンベラが首都として制定されました。

また、ゴールドラッシュ時代から蔓延っていた白豪主義*2が移民制限法の制定により、正式に国家の方針となります。

1950年以降、2度の大戦による人口減少や経済疲弊の影響もあり、徐々に多民族国家としての道を歩み始め、1972年に白豪主義を撤廃。

1985年にはウルルをアボリジニに返還、1993年にアボリジニに対する先住権を認めました。

情勢

オーストラリアは世界的に見ると安全な国です。しかし、日本と比較すると犯罪率は高く、油断しているとスリなどの軽犯罪に遭う可能性は十分に考えられます。薬物常習者も存在し、薬物がらみの犯罪も少なくありません。

また、オーストラリアには危険生物が数多く生息。茂みには毒蜘蛛、海には毒クラゲやサメなどが潜んでおり、襲われて怪我をしたり命を落としたりといったことも起きています。

経済

オーストラアリアは世界的な経済大国で、現在も毎年(2020年を除く)経済成長を続けています。その要因としては、アメリカやインドを上回る人口増加率や、総人口に占める生産年齢人口*3が高く、経済活動が活発なことなど。

金や鉄鉱石、ボーキサイトなど鉱物資源が豊富で、鉱業が盛ん。観光業や小売業などの第三次産業は全体の7割を占め、オーストラリア経済の根幹を担っています。

主要貿易相手国は中国、アメリカ、日本。主な輸出品は鉄鉱石や天然ガスなどの資源で、鉱業はオーストラリアの貿易面を支えています。牛肉や小麦などの農作物も輸出品目の一つ。

環境問題

オーストラリアの国土は厳しい環境下にあり、抱える環境問題も少なくありません。最もよく知られているのがオゾン層の破壊による紫外線問題。

オーストラリアは皮膚癌の発生率が諸外国と比較して高く、オゾン層の破壊によってできたオゾンホールが原因とされています。渡航の際は日焼け止めなど紫外線対策を怠らないようにしましょう。

降水量が少なく、水不足や森林火災も深刻な問題の一つ。大規模な旱魃が発生することもあり、2019年に発生した大規模な森林火災では大量のコアラが命を落とすなど、生態系にも深刻な影響を及ぼしました。

生態系に関しては、外来種による在来種の生態系破壊や農作物への被害も大きな問題となっています。

文化

 

民族

オーストラリアは様々な民族が生活する多民族共生国家です。ヨーロッパ系白人が大半を占めるものの、先住民のアボリジニの他、アジア系やアフリカ系も多く見られます。

また、全人口の4分の1が外国からの移民で占められており、その2世、3世も数多く存在します。

料理

旧宗主国であるイギリスの影響を受けており、フィッシュアンドチップスミートパイなどがよく食べられています。

また、オーストラリアと言えばベジマイトという調味料が有名。野菜に酵母エキスなどを混ぜて発酵させたもので味は塩辛く、強烈なニオイを発するので外国人受けはかなり悪いのだとか。

バーベキューが大好きな国民性で、オーストラリアではバーベキューのことをバービーと呼び、週末に公園などでやる人が多いです。オージービーフは日本でもよく見かけますね。

牛肉以外にもいろいろな動物を食べる文化があり、ワニ肉や国のシンボルたるカンガルー肉も食べられます。 

スポーツ

スポーツが盛んな国で、テニスや自転車レースなど多くの国際大会の開催国となっています。

クリケットラグビーが人気スポーツで、オーストラリアはどちらの競技においても世界トップクラスの強豪国。

オーストラリア発祥のオーストラリアンフットボールも大人気スポーツの一つ。ラグビーボールと似たボールを手と足どちらも使ってゴールを奪い合うスポーツです。

アボリジニの文化

オーストラリアの先住民、アボリジニは現在都市に居住する人口も多いですが、伝統的な生活様式を続けている方も存在します。

アボリジニの文化として代表的なものがブッシュフードブッシュタッカーと呼ばれるカンガルー肉や木の実、昆虫などのアボリジニの人々が伝統的に食してきた動植物を使った料理です。

ブーメランアボリジニを象徴する文化の一つ。狩猟や儀式に使われていた道具で、用途によって異なる種類のものを使い分けていました。

観光地として有名なウルル、通称エアーズロックアボリジニの聖地。ウルルはアボリジニの人々にとって、信仰の象徴となる場所です。

観光地

渡航基本情報

プラグタイプ O
電圧 220-240V 50Hz
道路 左側通行
チップ 不要
ビザ 必要(ETA

 

 

シドニーメルボルンなど、大都市へは成田空港や関西国際空港から直行便が出ており、時差も小さいため日本人にとって非常に訪れやすい国です。

周囲の島嶼国への直行便もあるので、長期滞在する際はそれらの国に足を伸ばしてみるのもいいですね。

オーストラリアは、広大な国土に豊かな自然と発展した都市が共存する観光大国。各地に見所が点在しており、オーストラリアを一周するオーストラリアラウンドという旅行形態も、主にワーホリ渡航者の間で人気です。

オーストラリアの見所

シドニー

オーストラリア最大の都市であるシドニーには数多くの見所があります。定番スポットは象徴的なハーバーブリッジ世界遺産に登録されたオペラハウスなど。

動物園や植物園でのんびりしたり、大都市なのでショッピングやレストランに困ることもありません。

少し郊外に足を伸ばせば、圧巻の絶景を堪能できるブルーマウンテンズ国立公園や、鮮やかな青い海が広がるボンダイビーチなど大自然を味わえます。

ケアンズ

常夏のケアンズはリゾート地として人気の街で、一番の見所はグレートバリアリーフ。世界最大の珊瑚礁でその全長は2000kmを超え、宇宙からでもその姿を観測できるほど。

熱帯雨林に囲まれた町、キュランダまで絶景の中を通っていく高原列車もケアンズに来たら外せないスポットです。

ウルル(エアーズロック

世界遺産に登録されているウルルはアボリジニの聖地にしてオーストラリアを代表する観光地の一つ。シドニーメルボルンなどから最寄りのエアーズロック空港まで直行便があります。

世界で二番目に大きい一枚岩で、内陸の砂漠の中に佇む姿は圧巻の光景。ちなみに、世界一大きい一枚岩であるマウント・オーガスタスもオーストラリアにあります。

名称について、ウルルよりエアーズロックのが聞き覚えがあるのではないでしょうか。ウルルとはアボリジニの呼び名で、彼らに対する尊重の意味を込めてエアーズロックでなくウルルと呼ぶことが多いのです。

タスマニア島

タスマニア島自然の宝庫で、北海道よりひと回り小さい面積の中に19もの国立公園があり、そのうちいくつかは世界遺産に登録されています。

島の固有種であるタスマニアデビルをはじめ、数多くの動物と出会えるのが大きな魅力。他にも、歴史を知れるポートアーサーもおすすめスポットの一つ。

国際関係

オーストラリアはアジア諸国、欧米諸国、太平洋諸国のいずれの国とも良好な関係性を保っており、経済面、文化面の双方で交流が深いです。

国連などの国際組織への協力に積極的で、アジア太平洋を中心に各地の安定、発展に寄与しています。

ニュージーランドとの関係性が最も深く、歴史的、文化的に似ている面も多く兄弟国と言える関係性です。

日本とも文化面、経済面共に結びつきが強く、在留邦人数はアメリカ、中国に次ぐ第3位でその数は10万以上。

日本人の留学先として人気が高く、1980年に日本が最初にワーキングホリデー協定を結んだ国でもあります。

主な加盟組織

OECD

イギリス連邦

APEC

PIF太平洋諸島フォーラム

G20

まとめ

オーストラリアは旅行や移住先として世界中から人が集まる人気の国。先進国でありながら、現在も安定した成長を続けています。

日本からも気軽に行けるので海外旅行や留学にもおすすめの国です。海外に興味はあるけどまだ行ったことはない、という方は初海外にオーストラリアを選んでみてはどうでしょうか。

 

*1:古生代の造山運動で形成された地形

*2:白人を優先し、その他の人種を排斥しようとする考え方

*3:15〜65歳の労働力になりうる人口層